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???「………」
視界がぼやけていた。
何回かまばたきをすると、黒い空と、点々と光る何かが視界に入ってきた。
空…そして、星だった。
徐々に感覚が戻ってくる。
まるで、深い眠りから覚めたような感覚だった。
辺りを見渡すと、木々が覆い茂っている。
どうやら、ここは森のようだ。
そして、自分が仰向けに倒れていることに気がつくと、ゆっくりと立ち上がった。
立ち上がったのは、男だった。
長身で青い髪、そして真っ赤な瞳をした男だった。
赤い上着を羽織り、青いジーパン、黒いシャツを着ていた。
男は、辺りを見渡した。
辺りは木々が覆い茂っている。
???「…ここは、どこだ?」
男は、誰に言うでもなく、そう呟いた。
どれだけ歩いただろうか?
闇雲に歩き回り、かれこれ一時間が経とうとしていた。
???「…さすがに頭が冷えてきたが…ここはどこなんだ?
そして…俺自身、なんなんだ?」
男は、木に持たれかかると、自分の身体を見渡した。
???「…何も思い出せない。
俺は…そうだッ!」
男は、咄嗟にズボンのポケットに手を伸ばし、携帯を取り出した。
???「携帯を見れば…ん?何で携帯の事は分かるのに他の事は分からないんだ?
まるで、霧がかかった感覚だ」
男は呟きながら、携帯を開いた。
携帯の時計が、
21:25分を差していた。
???「もうこんな時間か…早く帰らないと…帰ら…ない…と…?」
男は、携帯を見つめたまま、止まった。
???「俺…どこに帰れば…いいんだ?」
男は、携帯をポケットに仕舞い、木にもたれた。
???「俺…本当になんなんだ?」
男は、うつ向き地面を見つめた。
その時、視界に自分の上着が見えた。
???「赤…うッ!?」
男は、頭を押さえて苦しみだした。
???「な…なんだよ…一体…」
少しすると、男の手はだらりと下がり、ドサッと木にもたれた。
???「…思い…出した…俺の名は…ッ!」
男は、すぐに首を横に向けた。
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