9人が本棚に入れています
本棚に追加
男は、森の奥を睨み付けた。
すると、奥の方から、フワフワと黒い球体が浮いて、こちらに向かってきた。
???「なんだあれは?」
男が様子を見ていると、黒い球体は音もなく消え、代わりに、金髪の少女が現れた。
少女は、白と黒で彩られた洋服を着ていた。
目は、男と同じ真っ赤な瞳をしており、頭には、リボンのようなものがくくられていた。
???「やあお嬢さん、ちょっといいかい?」
男は、少女に近付いた。
???「実は道に迷ってしまってさ…よければ道を教えて欲しいんだ」
???「お兄さん、迷子なの?」
少女は、男を見上げて言った。
???「ああ、困った事に、軽く記憶喪失にもなっててな。
ここがどこだか分からないし、何故ここにいるのかも分からない」
???「キオク…ソウシツ…?」
少女は、指を口に当て、首をかしげた。
???「まあ、そこは追々なんとかするとして…どっか町はないのか?
せめて町に出る道でも…」
???「マチ?なにそれ?」
少女は、今度は逆の方に首をかしげた。
???「いや、町だよ町。
今は頭が混乱して、上手く言えないが、あるだろ?
アンタだって、町に住んでるなら…」
???「分かんないよ~マチってなんなの?」
少女は困った顔で男を見つめた。
???「…何が、どうなってるんだ?」
男が唖然としていると、少女はいきなり笑顔になって男を見た。
???「あ、そうだお兄さん!
あのね、聞きたいことがあったの!」
???「ん、なんだ?」
男は、少女を見つめながら言った。
???「お兄さんは、食べてもいい人類?」
???「…それはどう―」
ズガガガンッ!
男が喋ってる途中で、少女は、両手を男に向け、手の平から黄色い球のようなものを発射した。
男は、球を見ると、横に身体を反らし、球を避けた。
???「なかなかいい挨拶するじゃねーの」
男は、少女を睨み付けた。
???「お兄さん、食べてもいいよね?」
少女は、想像もつかないスピードで男に飛びかかった。
???「チッ、話が通じねえなら…」
男は、地面を蹴り、後ろに大きく下がった。
最初のコメントを投稿しよう!