一章 すべてはここから始まった

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男は、森の奥を睨み付けた。 すると、奥の方から、フワフワと黒い球体が浮いて、こちらに向かってきた。 ???「なんだあれは?」 男が様子を見ていると、黒い球体は音もなく消え、代わりに、金髪の少女が現れた。 少女は、白と黒で彩られた洋服を着ていた。 目は、男と同じ真っ赤な瞳をしており、頭には、リボンのようなものがくくられていた。 ???「やあお嬢さん、ちょっといいかい?」 男は、少女に近付いた。 ???「実は道に迷ってしまってさ…よければ道を教えて欲しいんだ」 ???「お兄さん、迷子なの?」 少女は、男を見上げて言った。 ???「ああ、困った事に、軽く記憶喪失にもなっててな。 ここがどこだか分からないし、何故ここにいるのかも分からない」 ???「キオク…ソウシツ…?」 少女は、指を口に当て、首をかしげた。 ???「まあ、そこは追々なんとかするとして…どっか町はないのか? せめて町に出る道でも…」 ???「マチ?なにそれ?」 少女は、今度は逆の方に首をかしげた。 ???「いや、町だよ町。 今は頭が混乱して、上手く言えないが、あるだろ? アンタだって、町に住んでるなら…」 ???「分かんないよ~マチってなんなの?」 少女は困った顔で男を見つめた。 ???「…何が、どうなってるんだ?」 男が唖然としていると、少女はいきなり笑顔になって男を見た。 ???「あ、そうだお兄さん! あのね、聞きたいことがあったの!」 ???「ん、なんだ?」 男は、少女を見つめながら言った。 ???「お兄さんは、食べてもいい人類?」 ???「…それはどう―」 ズガガガンッ! 男が喋ってる途中で、少女は、両手を男に向け、手の平から黄色い球のようなものを発射した。 男は、球を見ると、横に身体を反らし、球を避けた。 ???「なかなかいい挨拶するじゃねーの」 男は、少女を睨み付けた。 ???「お兄さん、食べてもいいよね?」 少女は、想像もつかないスピードで男に飛びかかった。 ???「チッ、話が通じねえなら…」 男は、地面を蹴り、後ろに大きく下がった。
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