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あれからボクたちは無事に国に帰ることが出来た ボクたちは真っ直ぐ家に向かった 家には母さんがいた 「あら、随分遅かったのね…その子は?」 母さんがボクたちが連れている子に気付き、訪ねてくる 「この子にはちょっと訳があってなそれは後で話すから、まずこの子を風呂に入れさせてやってくれ」 「え、ええ…分かったわ」 そう言って母さんはその子に手を差し出す。するとその子は少し怯えたようだった ボクは仕方がないよな…と、思いその子の手を握ってお風呂場に連れていった。それに母さんもついてくる そうして、返り血を落としきったその子の体は綺麗になり、髪の毛の色は赤から銀灰色へと変わった。これには、母さんもボクも驚いた お風呂から出たその子を見て、父さんも驚いていた 「驚いたな…君の髪の毛はそんなに綺麗な銀灰色だったんだな…」 「でしょ?私も驚いちゃった」 「そう言えば、落ち着いたら聞こうと思ってたんだが、君の名前は何て言うんだい?」 そう聞くとその子は少し戸惑った後 「オレは…ドロッチェ…」 と、答えた 「ドロッチェ…か。ではドロッチェ君と、呼ばせてくれるかな?」 「え?」 「ダメかい?」 「い、いいえ!…全然…大丈夫です…」 「では、ドロッチェ君」 「は、はい…」 「君はこれから、ここに住みなさい」 「え!?」 あの子…ドロッチェが父さんの言葉に弾かれたように顔をあげた 「嫌かい?」 「ち、違います!……オレは…その…オレといるのは、危ないです!!…だから…」 ドロッチェが戸惑いながら、そう言うと 「それじゃあ、ドロッチェ君は何処かにいく宛があるのかい?」 そう聞かれると、ドロッチェは何も言えなくなってしまった それもそのはず、ドロッチェは自らの手で帰る場所を壊してしまった…帰る所を失ったのだ だからと言って、今の自分は危険だ。いつ自分を失うのか分からない ドロッチェはぐっと唇を噛み締める そんなドロッチェを見て、父さんが 「君が今悩んでいる事は分かってるつもりだ…あれは…悲惨な情景だった…」 ドロッチェの体が震える 「でもな、今の君を放っておけないし、野犬に襲われたときもいっただろう…君は俺達の命の恩人だってな」
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