過去

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―――その時は、僕が父さんと共に隣の国―ドロッチェのいた国へ来たときのこと…その日は雨だった――― ――――――――― ――――― ―― 「な、なんだ…これは…」 隣の国に着くとそこは地獄絵図のような惨状だった 「こりゃひでぇ…全員死んでやがる…」 僕はキョロキョロと辺りを見回すと、目に写ったのはその場に座り込む一つの影 「父さん…」 「ん?どうした、ストロン?」 僕は父さんを呼び、その影を指差す 「あの子…生きてんのか?」 僕たちはその子のもとに近づく そして父さんはその子の肩を揺さぶってみる 「おい、大丈夫か?生きているか!?」 そう呼び掛けると、その子は目をこちらに向けた 綺麗な金色…でもその瞳に光はなく、生きているのに死人のようだった 「良かった、生きてるな。一体何があったんだ?」 すると、その子は重そうに口を開いた 「壊した…全部……オレが…」 「なっ!?君がこれ全部やったってのかい!?」 その子はそのあと何も言わなかった 「と、とにかくこの国から出よう。君、立てるかい?」 そう言って、父さんがその子の手を掴んだ瞬間 「触らないで…!!」 手を払われた。僕も父さんも目を見開く 「オレに触ると…近づくと…死んじゃうよ……ここの、皆…みたいに……」 しかし父さんは再度その子の手を掴む その子は驚いて父さんを見た 「は、離して…!!」 「いくら死ぬからって、今も死にそうな君を放っておけるわけないだろ!」 その子は少しだけ驚いた後、泣き出した だから、僕は父さんに掴まれてないもう片方の手を握った。 その子にはまた驚かれたけど、今度は振り払おうとはしなかった
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