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その子は返り血を浴びているのでそのまま自分達の国に連れて帰ることが出来ないため、まず小屋を見つけしばらくの間そこにいることになった
「ストロン、お前の予備の服この子に貸してやってもいいか?」
「いいよ」
その子が着ていた服を脱がせて僕の服を着せた
年は一緒ぐらいだし…サイズには問題なかった
「でも帰ったらちゃんと風呂に入らねえとな」
その子は返り血を浴びすぎたので、肌についた血は余り落ちずにいた
髪の毛は…元から赤かったのかな?そう思えるくらい真っ赤に染まっていた
その子は何もしゃべるとしない
話しかけても最初に質問したものに答えただけで、あとは何も言わない
「よし、そろそろ出発するぞ」
僕たちは小屋からでて僕たちの国へ向けてまた、歩き出した
その途中は森のなかを通らなければならなかった
父さんが背後からの気配に気付き、振り向くとそこにいたのは
「や、野犬!?」
今にも襲い掛かってきそうな野犬がいた。気付くと周りに野犬が次々と集まってきて、僕たちは囲まれていた
「くそっ!このままじゃ…」
そう思った。その時
「ギャワン!!」
後ろから野犬の悲鳴が聞こえ、咄嗟に後ろを向く
するとそこには、野犬の首を持っているあの子の姿があった。
と、いきなり目の前にいた子は消えた
突然また後ろから野犬の悲鳴が聞こえた
後ろを向くと、先程目の前にいた子が後ろで野犬を次々と切り裂いてゆく
あの子の目は、あの金ではなく真紅に染まっていた
気づけばそこはあの国のような地獄絵図とかしていた
「き、君…?」
僕の言葉に反応したその子はこちらを振り向いた。その子の顔は野犬の返り血その金色の目から流れた涙で濡れていた
「やっぱり…お…れは…う、うう…」
その子はついに声を出して泣き出してしまった
その子を父さんは優しく抱き寄せた
「は、離してよ!さっきのを見ただろ!!オレは…お…れは…化物……“パチンッ”……っ!?」
気付くと父さんはその子を…その子の頬を叩いていた
「いいか、君は俺達を助けてくれたんだぞ!!確かに驚きは大きかったが、君があの野犬を倒してくれなかったら、俺もこの子も君も…死んでた!!…お前は、俺達の命の恩人だ」
それを聞いたその子は目を大きく見開いた後、溜め込んだものを出すかのように大声を出して泣いていた
だから、ボクと父さんはその子をおもいっきり抱き締めた
もう他人とも思えない…この子は…恩人だ
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