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とあるアパートの一室に男は住んでいた。特にすることがなく一日中寝ているような男で、些か、この単調な毎日に少し退屈していた。大きなアクビを一つすると、眠くなり目を瞑り寝ようとした。
その時だ。隣の部屋から小うるさい音が聞こえてきたのは。その音に、眠ろうとしていた男の頭が覚醒してしまう。
「またか・・・。うくさくて眠れないよ・・・」
男の部屋には時計がなく、今が何時なのか、分からなかった。曇りガラス越しに表を見ると、日は暮れ、間もなく夜になろうとしていた。時間帯も考えずにの音に、文句の一つでも言ってやろうと思ったが、その手前で思いとどまった。
隣の部屋に越してきた人間は、どこかの宗教家らしく熱心に祈り続けている。そのような人間に、口出しをすれば何を言われるか分かったものではない。
都会で生きていく為には、出来るだけ面倒ごとには首を突っ込まない方が得策なのだ。
それを、男は教訓していた。男はすでに一度、隣に文句を言ったことがあった。
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