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リシア王国。魔法技術が優れており、他国からは一目置かれる存在である。また、他国に技術を提供しているためか国も人も裕福である。
しかし、ルーノ国は厳しい寒さ故か非常に貧しく、リシア王国から援助を受けて何とか国の体裁を保っている状態だ。リシア王国の庇護下とも言える。そんなルーノ国に将来ビックになれる素晴らしい少女がいた。それが私、レノ。
「というわけで、母さん。リシア王国に行ってきます」
写真に写っている女性に話しかけた。いや、別に亡くなっているわけではない。母さんは家を空ける時が多い。これが俗にいう風来坊。いや、根なし草? とりあえず、元気にやっていると思う。お金は毎日自分で稼いでいる。仕送りはなしだ。ちなみに仕事は兵舎の掃除。最初は臭くていやだったけど、給料がいいので我慢している。兵士達いわく、ここよりも高い給金はないらしい。
「あ、親方に挨拶しないと」
荷物を持って私は兵舎の方に向かう。近所の人はすれ違うだけで挨拶はしない。近所の人は私を避けていると思う。たぶん、私の持つビックのオーラで近づけないに違いない。20分ほど、歩くと丘の上になんとも不気味な建物が現れる。兵舎ではさっそくおじさんたちがお酒を飲んでる。
「よーう、レノちゃん。今日もお仕事かい?」
相当、酔っているらしい。顔が真っ赤だし、そばには空瓶が何本も転がっている。でも、もう私の仕事じゃないからいいか。
「いいえ、今日は親方に挨拶にきたの!」
「何の挨拶だぃ?」
「お別れの挨拶だよ。そういえば、おじさん達にも挨拶しないとね」
私はゆっくりと頭を下げた。
おじさん達は黙ったままだ。もしかして泣いている?まぁ、ビックな私が居なくなるんだ。私、存在感でかいからな。
「おい、小娘。ふざけるなよ」
「え?」
別れを惜しむ言葉ではなくて代わりに聞いた言葉は何やら怒った声。
おじさんが私の胸倉をつかんだ。こんなおじさん見たことない。顔を真っ赤にして目を見開いている。正直、怖い・・・。
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