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一段と酷くなった臭いに手で鼻と口元を押さえてガードするが全く意味を成さない
クソッ!!
学校側から配布された御守りを持っていても意味ないじゃないか!
いやな汗が頬を伝う
「憐、大丈夫か?」
僕の異変に気付いたのか臨が話し掛けて来るが、気分の悪さで上手く返事が出来ない
「だ、い……じょうぶ、だ…」
「でも顔色悪いぞ
また、あの臭いがするのか?」
臨の質問にコクンと頷く
早く教室に入りたい
あそこなら僕の結界が張ってある
この臭いから逃れられる
僕達は足早に教室へと向かった
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「大丈夫か?」
周りに聞こえないよう、小声で尋ねてくる臨
臨は血の臭いを感じない
でも、僕の言葉を信じてくれるらしく
毎朝心配そうに僕を気遣ってくれる
「ここに居れば大丈夫だ、もう心配ない
毎朝悪いな…」
他人には分からない事を感じてしまう僕を大抵の奴は気味悪がり、化け物扱いするが
臨は普通に接してくるし、僕と友達になるし、僕の事を信用するし、変わった奴だ……
だからこそ毎日心配させてしまっている事に対して謝ってしまう……
「何回同じ事言わせるんだよ!!
謝る事なんてないぞ!
親友を心配するのは当たり前だからな♪」
明るい笑顔でいつも通り安心させるように言う臨
良くそんな恥ずかしい台詞を平然と言えるな……
半分呆れながら
半分笑ってしまう
血の臭いや千年桜は嫌だけど
穏やかに高校生活を送れたらいいなと思う
けど
そんな細やかな願いは
脆くも崩れ去る事になるなんて……
破滅への足音に気付けなかった僕は僕自身を呪い殺したくなった………
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