no title

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ピンポーン 「はーい。」 そう言って扉を開けると、ふわっと暖かい風とともに甘い香りが鼻をくすぐる。 しかし、人の姿はなく、代わりにケーキが置いてあった。 「…沙那?」 呼ぶと、扉の陰から背の低い茶髪の女の子扉の影から出てきた。 沙那だ。 顔にはいたずらっ子のような笑みを浮かべ、おどけた様子でこう言った。 「ばれちゃったか…。上手く隠れたと思ったんだけど。」 「バレバレだけど。ていうかこのケーキは?」 指差しながら聞いた。 白い箱に入っているが、沙那の家はケーキ屋なのですぐに推測できた。 「今から華憐を借りるから、華憐のお母さんにただじゃ悪いなと思って。」 と、よく分からない冗談を言った。いつものことだが、いきなりだったので私は戸惑った。
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