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「…やっぱりその答えを聞くのは止めよう。どうなろうがなったものが現実なんだから、ね?」
そう言ってにこりと微笑む沖田さん。
その言葉が自分に言い聞かせているようで…。
聞いていて、辛かった。
ー沖田さん。私、歴史の授業で貴方のことを教わった時思ったんです。
私が言ったことが実感出来ていないのか首を傾げて視線を反らした沖田さん。
そんな沖田さんに構わず私は言葉を繋げた。
…途中で口を挟まれれば思わず余計なことまで言ってしまいそうな気がして。
ー沖田さんが現代に居たら、病気で苦しんだりしなくてよかったのになぁって。
そう伝えると、首を傾げていた沖田さんの指がピクリと反応した。
「それ、どうゆうこと?」
…きっと、沖田さんに言っても余計苦しめるだけかもしれないけど。
伝えずにはいられなかった。
ー実は私、幼い頃に結核ー…労咳を患っていたんです。
そう、伝えた途端に私と沖田さんの間に風が吹き抜ける。
ここまでほんきで驚いた顔を見たことがあっただろうか?と思うほど沖田さんが驚いている。
「労咳って…大丈夫なの?」
その問いに小さく頷いてーもう、過去のことですから。と伝えた。
それを聞いて沖田さんは益々わからないといった表情を見せる。
…沖田さんがここまで色んな感情を見せてくれたのは初めてだった。
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