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「はぁ!?てめぇ、総司っ!余計なことすんじゃねぇっ」
怒鳴りつける土方さんあら逃げるように沖田さんが何処かへ走っていく。
最初は放っておくつもりだったのか見ているだけの土方さんであったが、沖田さんの向かった方向を見てサッと顔色が悪くなる。
…沖田さんが走って行ったのは皆さんが居るであろう広間の方。
沖田さんなら本気で皆に言って回ると思ったのだろう。
普段の土方さんからは想像も出来ないほどの速さで沖田さんを後を追いかけていった。
「おい、待て総司っ!!」
「待ちませんよー、こんな面白いこと、言わないでどうするんですかぁ?」
二人とも、速い…。
そんな追いかけっこを眺めていると、いつの間のかヒートアップしていって…。
屯所を二週した辺りからは、響いてきたのは沖田さんの楽しそうな笑い声と、馬の蹄の音と、地面を揺るがす地響きだった。
「総司っ…何卑怯な手ぇ使ってやがるっ!」
必死に追いかけていくのに、沖田さんと土方さんの距離は縮まることはない。
だって沖田さんは、馬に乗って逃げているんだから。
沖田さん…いつの間に馬に乗ったんですか?
土方さんも、馬に走ってついて行くなんて…どんな足をしているんですか?
この騒ぎを聞きつけたのか幹部の方々が次々と屯所の中から出てきた。
「うるせぇなぁ…何ごとだぁ?」
「あ、総司と土方さんが追いかけっこしてるぜ?」
「いや、…追いかけっこなんてモンじゃねぇだろ…」
永倉さん、平助くん、原田さんが私の側に来てそんなやり取りを交わしていた。
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