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皆に「何事だ?」と聞かれた私は言葉に詰まり苦笑を返すことしか出来なかった。
だけど、たった1人だけ、反応が違う人がいた。
「おぉ、トシの韋駄天走りかぁ。懐かしいなぁ」
そんなことを呟いて近藤さんが染々と微笑む。
あの、近藤さん…。良ければ、土方さんと沖田さんを止めて頂きたいのですが。
もう、この二人を止められるのは近藤さんしか居ないと思う。
けれど、近藤さんは「大丈夫だろう」と言って見学し始めた。
近藤さんーーーっ!!
そんな間も、沖田さんと土方さんの追いかけっこは続いていた。
「あ、近藤さんっ!聞いて下さいよー、土方さんってば昼間からー…」
「あぁぁぁぁっ!!止めろーーっ!」
近藤さんをいち早く見つけた沖田さんは直ぐにあのことを報告しようとしている。
そして、それを大声で遮る土方さん。
うん、そろそろ止めないと体力が尽きてしまうんじゃ…(特に土方さん)
何となく、土方さんの身の危険を感じ、私の目の前を通った土方さんの腕を掴む。
今まで、全力疾走をしていた土方さんを逆側に引っ張ったからだろうか?
「うおっ!?」と声を上げながら土方さんがバランスを崩した。
その衝撃で、私までも体勢を崩してしまう。
ーきゃっ!!
「っ、瑠璃!?」
互いに何かしらの声を発しながら二人同時にその場に倒れこむ。
倒れこんだ割には痛みは少なく、下から土方さんの声が聞こえてきた為に土方さんが庇ってくれたのだと理解した。
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