30点以下は『奴隷』

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30点以下は『奴隷』

「ただいま~」 「おかえり~」 家に帰ると、お母さんが笑顔で玄関で、迎えてくれた。 「学校どうどった?」 僕も笑顔で答える。 「あー、良かったよ。友達も出来たし」憎い程の爽やかのな。 「良かったじゃない」 すると、お母さんの顔が急に真顔になった。そして、低い声で言った。 「ねぇ、義正」 「なっ、……何だよ」 僕は突然のお母さんの変化に動揺する。 「絶対に1教科のテストも30点以下、採らないでね」 「ど、……どういう事?」 「学校の方からさっき、電話があったの。今度の中間テストもそうだけど、全てのテストで1教科でも30点以下、採ったら……」 「……え」 「『奴隷コース』になるんだって」 「そんな話聞いてねぇぞっ」 僕は思わず怒鳴ってしまった。 「まっ、安心して」お母さんの顔が再び、笑顔に戻った。「1教科でも30点以下、採らなければいいのよ」 「まっ、そうだね」 僕はその時、気軽に考えていた事を、後になって酷く後悔するんだ。
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