モーニング・グローリー

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1人の男が、手を額の横に当てては下げを繰り返していた。30分も前からだ。 よりスピーディーにやろうとし、空気を裂く、バッバッという音がする度に、嬉しくて小躍りしたい気持ちになった。 警視庁の1Fのエレベーター前で男が敬礼の練習をする毎に、その辺を歩く職員や、受付の婦警は失笑しているが、当人はどこ吹く風である。 エレベーターの1のランプが付いた。 男はすぐさまエレベーターに向き直る。ドアが開いた。 「貴様か。二宮銀次郎とかいうふざけた名前の奴は」 小隊長だろう。イメージ通りの、無精髭のよく似合う、ナイスミドルだ。 「はっ!自分は、本日付けで警視庁捜査一課、特殊・・・・」 「あー、いい」 「はっ?」 小隊長は面倒臭そうに手を振った。 「とにかく行くぞ」 「はっ!」 俺も、ついにシットに入ったんだ。 二宮は幸せすぎて、何かを思いっきり破壊したいような衝動に駆られた。
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