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―――フェルカー・モルト学園。
……の、暗殺学科。
………の、ミッションボード前、受付場。
「お疲れ様でした~」
「…何であんな簡単なミッション、あんなに時間がかかったのよ…
一人なら10分もかからないわよ…」
「ほう、それは俺が居たから時間がかかったと?」
「そうに決まってるじゃない…はぁ」
紫色の青年…日比野 杏(ひびの あん)はがくりと肩を落としてフラフラ歩く。
時間がかかりすぎ、馬鹿みたい、など――先程の反省点だろうか――を呟いていた。
それは一種の呪いの言葉のようにも聞こえる。
金髪オールバックの青年…水無月 柊也(みなづき 柊也)は彼を見て肩を竦める。
「君一人で行ってもらいたいのだが、残念ながら此処の校訓として『原則パートナーと共に行動せよ』があるからな。
本 当 に 残念だったな」
「何で人を殺めたことがないのにこの学科に入ってきたのよ…」
この学園は、15歳~20歳までの人物が集まり――飛び級制度はある――、それぞれが幾つかある学科に所属している。
その中でも彼等が所属する暗殺学科とは、文字通り暗殺をミッション形式で実戦、学習するというプログラムが組まれていて、最も活動が多いのだ。
つまり、人の命を奪うことに抵抗がある人物にとっては最悪な学科となる。
警察などという組織が無くなったため悪事を働く人間が増え、暗殺者が必要となったわけなのだが、それにしてもよくこんな学科を選んだものだ。
「…まぁ良いわよ、アナタは動物の命さえ奪うことに抵抗がある 善 良 な学生ですしね。
汚れ仕事はアタシにお似合い…
だから、邪魔だけはしないで頂戴」
「ふっ、考えておこう」
「何時もそう言って邪魔してくるじゃない…」
はぁ、と杏はため息を盛大についた。
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