運命の出会い

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「えーっと、大盛りカルボナーラとサラダで」 席につくなり、すぐに注文した。 お腹が減っていたのもあるが、早く帰りたかったのだ。 見るからに怖そうな、よくわからない他人といるなんて気まずいし。でもお腹は減ったし。 適当に話を聞いて断れば、それだけでタダ飯ゲット。 なんて簡単なミッションなんだ。 「じゃ、俺はナスのミートソーススパゲティとアイスティで」 おい、私より少食なのか、この熊。 それに熊ならナスのミートソースじゃなくて、鮭のクリームソースだろ、そこは。 熊、鮭……。 北海道いいよね。行きたいなー。 「君、名前は?」 「え!?あっ。鈴木、かおりです」 脳内で完全に北海道旅行をしていた私はハッと現実に戻された。 危ない、ミッションの途中でトリップしてたよ。 「カオリちゃんか。 俺は力道剛(りきどう つよし)。ツヨポンって呼んでいいよ。 あ、これ名刺ね。」 「えーっと、どうも……」 差し出された名刺を見ると 「club Crystal」 代表取締役 力道 剛 そして、歌舞伎町の住所と電話番号が書かれている。 ……ツヨポンのクダリはスルーした。
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