507人が本棚に入れています
本棚に追加
「えーっと、大盛りカルボナーラとサラダで」
席につくなり、すぐに注文した。
お腹が減っていたのもあるが、早く帰りたかったのだ。
見るからに怖そうな、よくわからない他人といるなんて気まずいし。でもお腹は減ったし。
適当に話を聞いて断れば、それだけでタダ飯ゲット。
なんて簡単なミッションなんだ。
「じゃ、俺はナスのミートソーススパゲティとアイスティで」
おい、私より少食なのか、この熊。
それに熊ならナスのミートソースじゃなくて、鮭のクリームソースだろ、そこは。
熊、鮭……。
北海道いいよね。行きたいなー。
「君、名前は?」
「え!?あっ。鈴木、かおりです」
脳内で完全に北海道旅行をしていた私はハッと現実に戻された。
危ない、ミッションの途中でトリップしてたよ。
「カオリちゃんか。
俺は力道剛(りきどう つよし)。ツヨポンって呼んでいいよ。
あ、これ名刺ね。」
「えーっと、どうも……」
差し出された名刺を見ると
「club Crystal」
代表取締役 力道 剛
そして、歌舞伎町の住所と電話番号が書かれている。
……ツヨポンのクダリはスルーした。
最初のコメントを投稿しよう!