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「知ってますけど、それが何か?」
あまりいい予感はしないけれど、一応聞いてみる。
「お、知ってたか!じゃあ、ご飯食べたらこれからエアロに行こう。
カオリなら可愛くなれるから!」
ん?
エアロに行く??おしゃれ美容院に、このダサい私が?そして可愛くなる?
言っている意味がわからない。
「どういうことなんでしょうか?」
「だから、ヘアセットとメイクをしてもらいに行くんだよ。
どうも自分に自信がないみたいだからさ。
カオリ自身が自分の魅力に気付いてもらうために、まずは変身してもらおうかと思ってね。
時間的に閉店だろうけど、あけてもらうわ」
そういって、熊は胸ポケットから携帯を取りだし電話をかけはじめた。
どうやら、美容院に電話をして店をあけてもらうようだ。
いや、私の都合は無視ですか?
ここでキッパリと断われば、ご飯を食べてサッサと帰れるかもしれない。
これはチャンスだ。
――それなのに、頭の中に「ナンバーワン」という言葉が張り付いて離れなくて。
結局は忙しいと言えずにただ、熊の電話が終わるのを待っていた。
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