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「じゃあさ、ヘアセットとメイクだけしてみてから、もう一度考えてみてよ。
可愛くなった自分の姿を見て、それから働くかどうか決めてもらってもいいからさ。」
いやいや。やっぱりおかしいよ。そもそも私が可愛くなるわけがないのだ。
こんなに不細工な私が。
ナンバーワンという言葉に少し夢を見ていたが、よく考えればこの私が可愛くなるという前提がおかしい。
理性が出てきた分、自分を客観的に見れるようになっていた。
やっぱり断ろう。そしてタダ飯食べてすぐに帰ろう。
そう決めて、断るために口を開きかけたその時――
「失礼します。大盛りカルボナーラとサラダです」
とタイミング悪く料理が運ばれてきた。
テーブルに置かれたカルボナーラからは食欲を駆り立てるいい匂いが漂う。
お、美味しそう。
食欲に負けて完全に断るタイミングを逃した私は次のタイミングを計ることにした。
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