運命の出会い

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「あの、声をかける相手を間違えてませんか?」 恐る恐る聞いてみたが、熊は 「いや、間違ってない。うちのキャバクラで働こうよ、ね?」 と笑顔でこたえた。 えぇー……。 自慢じゃないが、私はダサい女だ。 この春、大学に入学したばかりの18歳。 18歳の女子大生といえば、オシャレして、サークルに入って、恋愛して、遊んで。といったイメージだろうか。 だが、私はお洒落やファッション、異性関係に興味がなかった。サークルにも入ってないし。 化粧なんて1回もしたことがないし、外出するときもいつもボサボサ眉毛のスッピンにメガネが基本。 1度も染めた事のない黒髪は胸元まで伸びていたが、邪魔なので後ろで1つにまとめてゴムで束ねただけ。 服装もシャツ・ジーンズ・スニーカーの3点スタイルだった。 もちろん、男性とお付き合いをしたこともないし、今の楽しみといえば、深夜のアニメ観賞とゲームくらい。 そんなダサ女・鈴木カオリに熊は声をかけたのだ。 キャバ嬢とは真逆の世界にいるこの私にキャバ嬢になれ、と……? 「お断りします」 私は帰って撮り貯めしているアニメを見たいんだっ! さっさと帰ろうと、家方向へ足を踏み出す。
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