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<< ぐぅぅう~ >>
しかし、足を踏み出したと同時に私のお腹がご飯を所望しだしたのだ。それはそれは大きな音で。
現在、PM7時。
バイト帰りということもあり、ものすごくお腹が減っていた。
でも空気読めよ、腹の虫!!
「ははっ、腹減ってんのか。飯おごるから話聞いてよー」
気軽に熊が言う。
すごく恥ずかしいんですけど。
「いいいぃ、いうぇ、結構でs <<ぐうぅぅ>>」
恥ずかさのあまり噛んだしっ!!
しかもまた鳴ったしっ!!
目の前の熊はゲラゲラと笑っている。
……負けた。私は空腹に負けたんだ。
完全に心が折れた。
「すみません。話聞くんで、やっぱりおごってください」
「おぅ。何か食いたいもんある?」
「んー。じゃあ、あそこのパスタ食べたいです」
私はすぐ先にある、大盛りで有名なイタリアンのお店を指差した。
この熊、スカウトとは言っているが、実際は何者なのかわからない。
いきなり拉致されたり襲われたりするかもしれない。
他人から声をかけられるなんて、何があるのかわからないので、最大限の注意を払う必要がある。
だから、私は目の前にあるお店を選んだ。
人通りも多いし無茶なことはできないだろう、とふんだのだ。
……決して『大盛り』につられて選んだわけじゃないんだからねっ!
そんなわけで熊男とスッピンメガネ女は店に入る事となった。
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