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んん……?
名刺を見て1つの疑問が頭に浮かんだ。
スカウトって代表取締役がやるの?
人手不足なのか、スカウトが雇えない程資金不足なのか?
どっちにしてもダメじゃないか、そんな店。
そんな思考が顔に出ていたのだろうか、熊は私の考えを見透かしたように
「心配しなくても危ない店じゃないよ。
今日、俺休みで遊びに出てたら偶然、カオリを見かけてさ。
見た瞬間に、絶対にキャバ嬢として輝ける!磨けばダイヤになる原石だ!って思ったんだよね。
キャッチなんてしないけど、気がつけば声かけてた。
一目惚れみたいなモンかな」
頭をポリポリとかきながら恥ずかしそうに熊は言っていた。
……似合わねー。
怖い見た目なのに、照れるなんて可愛い!そんなギャップがいい!
と思わせて、心を開かせる作戦?
それに名前も呼び捨てで呼ぶなんて。
より親近感を感じさせる作戦だろうか?
疑り深い私の心はガッチガチに固かった。
「それって、今の私は石ころって事ですか」
イヤミっぽく言う。
嫌な女だと思ってもらって、こちらから断る前に相手から諦めてもらうのも手だな、と思ったのだ。
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