運命の出会い

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「そうだね。今のままじゃ惨めな石だ」 うっ。 わかっちゃいるけど、ズバっと言われると少々傷付く。 しかも、惨めって言葉まで追加されてるじゃないか。 「でも、きちんと化粧してヘアスタイルを整えるだけでも、絶対に綺麗になれるから。 あとは接客やトーク、振る舞い次第だけど、ナンバーワンになる素質は十分ある」 ナンバー、ワン? 私はその言葉にドキッとした。 今までのこの人生の中、私は何かでナンバーワンになったことはあっただろうか? 勉強も運動も特に優れてるわけではない私。 そして社交的な性格でもない私は友達付き合いだってあまり得意なほうではないので、何をするにもだいたいいつも一人で過ごしている。 高校の時だってそうだった。 授業が終わり、休み時間になれば、みんなはすぐに仲のいい子達とグループを作り、「これからカラオケいこうよ」だの「だれだれ君と付き合うことになったの」だのとワイワイ楽しそうに話していた。 私はそれを自分の席でボーっと眺めながら、今日は帰って何のゲームしようかなどと考えて時間をつぶす毎日。 どうせ何をしても普通で、内向的な私。 だから、勉強にも運動にも人付き合いにも、他全てのことにおいて、何か頑張りたい事や楽しみたい事なんてなかった。 正直、学生生活は退屈なものだった。
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