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「……本当に大丈夫なのか、純?」
剛はリヤカーを引きながら、同じくリヤカーを引いて剛の右隣に並んで歩いている僕に顔を向け、心配そうに声をかける。
「分からない。……分からないんだ」
僕はリヤカーを引くのを止めて立ち止まる。
剛も僕に合わせて止まってくれた。
僕は眼鏡に付いた埃を拭くために外し、左の袖口で眼鏡を拭ってからまたかけ直した。
「僕の父さん、母さんが亡くなったらしいってどこかで聞いて……」
僕はあの時の事を他人事のように話し出した。
「……実際にその遺体を見つけることが出来たけどさ、2人共寝ているのかと思うくらい穏やかな顔だったよ。死んでるなんて嘘なんじゃないかと思った」
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