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僕は淡々とした口調で話を続ける。
「でも、父さんと母さんの手を握ったとき、もう温もりを感じなかった。それで2人は死んだんだって分かった。親はもうこの世にいないんだって現実に引き戻されたよ」
僕はそう言い、視線を剛からリヤカーに載っている"もの"に移した。
「まだ僕は親の死が分かっただけマシだと思う。僕達が運んでいる人達はもし引き取り手が現れなかったら……明日まとめて火葬されるからね」
剛がわざとらしく咳ばらいした。
「……ごめん、不謹慎だったね。なんだか僕、いろいろと感情が麻痺してて」
声に全く抑揚が無いことは、僕自身が1番よく感じている。
元々感情を表に出すような性格じゃなかったけど、この3日間で感情そのものが欠落してしまったのだろうか?
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