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僕はまた自分より頭1つ分以上高い剛の顔を見上げるように目を合わせた。
さっきは剛の顔をはっきりと見ていなかった。
けれども無表情の僕とは対照的に目尻にうっすらと涙を浮かべ、今にも泣き出しそうに見えた。
ありがとう剛……。僕の分まで……。
僕は剛の実直な優しさに触れたことで、かねてから剛に言おうとしていたことをようやく切り出せた。
「剛……後は全て僕がやっておくから。妹の所に行ってやれよ。避難所にいるとはいえ、まだ魔物が近くにいるかもしれないしね。君が妹を守ってやるんだ」
「だが、ここにも魔物が潜んでいるかもしれないんだぞ? いくら純が強いからって……」
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