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中央国・西部地区・バルジェーンダ。
「5番軍副隊長リカリス。命によりここに参りました」
「10番軍副隊長シンミカ。任務によりここに参りました」
「2番軍副隊長カララです。隊長の直命によりここに参りました」
少女三人が中央国の王の前に礼儀良く立っている。少女達はまだ16歳という若さであり、副隊長と名のあるとこをみると実力があることがわかる。
「実は君達をここに呼んだのはあることを頼むためなんだが……」
王は自身の髭を触りながら「うーむ」と声を出して悩み始めた。リカリスはその様子を見て自分のしっぽを少し強く振り音を出した。
「王。私達に頼みたいこととはなんですか?」
「実は20年前私は妻をある場所に隠した。そして、私は数カ月に1回訪れていた。そして18年前に私の息子が生まれた」
「王子ですか?」
カララが首を傾けながら言った。王は「ああ」と言って頷く。
「実は王子を私の処へ連れてきて欲しいんだ」
「王子を、ですか?だったら私達ではなく、隊長や攻陣隊(コウジンタイ)に言った方がいいと思いますが」
リカリスが王に言った。他の二人も「私もそう思います」とリカリスの後に続けて言った。王は少し真剣な顔をして3人を見た。
「実は会議によって君達に決まったんだ」
「会議ですか。それなら納得します」
リカリスは一歩前に出ていたが、「会議で決まった」と言う事を聞いて、納得し一歩後ろに下がった。
「では、私の願いを聞いてくれるか?」
「私はいいです」
「私も」
「私もです」
「では、直ぐにでも出発して欲しい」
「承知」
3人は王に辞儀をするとその場から去った。王はほっとしたように心を落ち着かせた。そして、嬉しそうに側近言った。
「やはり彼女が私に意見してきたな」
「そうですね。確かあの子は……王子の婚約者だったのでは?」
仄かに笑う王は頷いた。そう彼女とはリカリスのことだった。しかし、彼女はまだそのことを知らない。
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