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「失礼します」
カララは2番軍隊長の部屋を訪れた。目の前に座っている人物は書類からカララに視線を移動させ、口を開く。
「カララか。王は何と命じたのだ?」
カララに聞く人物は黒い耳が特徴的な男だった。青年と言うべきか、まだ顔は少し幼く見える。
「王は私に王子を連れてくるように言いました」
「そうか」
「はい」
カララが静かに言った。その様子を見た青年はムッとした顔をして言った。
「なんで敬語なんだよカララ。俺達幼馴染だろ」
「ですが……隊長……」
「ミラジ。ミ・ラ・ジだよカララ。それと敬語禁止」
「ごめんミラジ」
カララがしゅんとして謝った。ミラジはカララの所へ行き、カララが被っていた帽子を取り髪をくしゃくしゃとかきまわした。カララの髪は深緑色をしていて、その色に合うようにできているようなうさ耳。
「ちょ……ちょっとやめてよミラジ。せっかく結っているんだから」
「じゃあ、取っちゃえ」
「え!!」
止める暇もなく直ぐにゴムを取られてしまった。カララの髪が綺麗に舞った。
「やっぱ結ってない方が可愛いぜ」
「じゃ……邪魔なの。ゴム返してよミラジ」
「ヤダ。返して欲しければ“好き”って言って」
「な!!」
カララが頬を赤く染めた。そうこの二人はお互いの気持ちを知っているのだ。だからこそこんなことが言えるのだろう。しかし、カララは未だに「好き」とは言えずにいた。ミラジはカララの去年の誕生日の日に告白した。しかし、まだカララの返事がなかったのだ。
「返してよー」
「イヤダ」
ニコニコしているミラジは何か企んでいるようだった。
「返して!!」
「わーかった」
「本当?」
バタバタと飛びながら取ろうとしていたカララは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「でも、……ただじゃやらない」
「え?」
ミラジはニッコリと笑顔を作り……。
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