1.王子の元に集まる運命で決められた人々

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一方。隊長室を出て行ったカララはというと。  「はぁ、はぁ、はぁ……」  息を乱しながら、頬を赤くして手を口元に当て自分の家へと向かっていた。  -ミラジの馬鹿。バカバカバカバカバカ!!-  彼女は涙を流しながら心の中で「馬鹿」と言う言葉を繰り返していた。ふと彼女は足を止めた。今走って来た道を振り返り、そして……。  -でも、嬉しかった-  と思ったのだった。  -中央国 正門前-  町の人々が正門前を行き来していた。その中から人の波を割るようにシンミカが走って来ていた。 「おーい」 シンミカは大きく手を振って先に来ていたリカリスとカララに言った。また、リカリスとカララも小さく手を振った。 「すまなかったなぁ~、遅れて」 息を切らしながら言った。ポケットからハンカチを取り出し汗を拭き始める。 「そういえば何故こんなに遅いの?」 リカリスが不思議そうに聞いた。実はリカリスとシンミカの家は近所であった。リカリスが出かける時、シンミカの家の前を通るので大体会話を聞いていればどんな様子かはわかる。 何故わかるかというと、中央国の家のつくりは窓があるがガラスがあるわけではなく夜になると自分達の魔力を使い障壁のようなもので閉めるのだ。だから、聞かれたくない話があるなど理由がない限り、昼は家の中の会話がわかるのであった。 「あーちょっと用事思い出しちゃってさ……」 「ふーん」 「では、行きましょう」 「おー」 元気よく返事をするシンミカを横目でちらりと見たリカリスは、シンミカに気付かれないように文句を言いたい気持ちを飲み込み小さく息を吐いた。 そして、彼女達は王子の元へと向かった。
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