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朱里「ねぇ、嘉山くん」
出撃のタイミングを図っている時、後ろから聞こえた朱里の声に嘉山は振り返る。
嘉山「どうした?」
朱里「本当に.....あの子を戦わせるの?」
嘉山「・・・」
一瞬、嘉山は自分が考えていたことを見抜かれたのかと危惧したが、杞憂に終わった。
朱里から読み取れる感情は単純に心配。
彼女も、年端もいかぬ少女に戦わせることに抵抗があるのだ。
嘉山「正直、俺らではあいつに勝つことは難しい。それほど相手は桁違いに強い」
そう、嘉山の予定では立てた作戦を実行した時、召喚された死者を大多数、葬ることが出来る。
しかし。
それでも攻撃を凌ぎ抜く猛者は必ず出てくる。
その猛者に対抗しうる唯一の存在といっていいのが栞なのだ。
もちろん。
作戦の計画には栞は入ってなかった。
栞抜きの場合、残った猛者は四人で倒さなければならない。
だが、この四人では能力的に勝率が高いとは言い難い。
それこそ、一般の戦闘員相手なら蹂躙することなんてわけない。
だが、相手は能力者。
それもある程度訓練を受けた者達だ。
その手練れを相手にしてまともに戦い、勝つことが出来るのは栞だけだ。
嘉山「少しでも、全員の生存率を上げたい。その為に栞は必要不可欠だ。それに.....出し惜しんで勝てる相手でもないだろ」
朱里「・・・悔しいけど.....そうね」
朱里もまた、十分に理解している。
戦力差、経験、能力。
色々な面で坂本財閥側に劣っていることを。
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