最終決戦

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河村「ではお前たち、いけ」 河村の言葉と共に屍たちは動き出した。 あるものは、こぶし大の大きさの火球を自身の周りに停滞させ、今にも四人を焼き付くそうとしている。 またあるものは、筋肉を数倍に肥大させ、巨人のごとき体躯で四人に近付いてくる。 生前、強力な能力者であった者たちが一斉に歩み出たのを合図に嘉山は指示飛ばした。 嘉山「今だ.....久遠!」 菜月「はぁっ.....!」 嘉山に呼び掛けられた菜月は、事前に聞いていた作戦通り、軍勢の上に針を出現させる。 河村「ほう.....広範囲攻撃ですか。ですが、50人全員を覆えますか?」 河村の指摘は正しかった。 菜月の脳では50人を覆うほどの広範囲に針を展開できない。 が、それはあくまで菜月が自身の能力だけで行った場合だ。 河村「バカな.....!」 予想を上回る速さで展開される針を見て、河村は戦慄する。 河村「どんな頭の回転をしている.....。一介の高校生が出来ることじゃないぞ.....!」 嘉山「いいこと教えといてやるよ。確かに、あんたにサシで挑んだら負ける。だがな、こっちはチームだぜ?」 菜月単体では、いくら広範囲といっても限度がある。 ならば、それを上回るパフォーマンスが出来る状況を作ればいい。 現在、菜月の周りは嘉山の能力によって高濃度の酸素で包み込まれていた。 加圧することによりいつもより多量の酸素を周りに充満させる。 すると、呼吸で取り入れた酸素は血中に溶け、全身に運ばれる。 その際、いつもより多くの酸素が脳に送り込まれ、結果として普段よりも脳が活性化してるのだ。 高気圧環境下において脳を活性化させることによる擬似的な能力強化。 それにより、菜月は普段より数多くの針を作り出すことが出来ていた。
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