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河村(クソッ、クソッ、クソッ!!)
ここまで登り詰めた。
並大抵の努力ではここまでこれはしなかった。
初めて能力に目覚める可能性が出たとき、まだその確率は数%しかなかった。
しかも、残りの確率に残されているのは死。
その致死率九割をも越えて能力を手に入れ、社長である晋也に仕えてこの数十年を過ごしてきた。
なのに。
それなのに。
その数十年の苦労を高校生ごときに水の泡にされようとしている。
その事実が河村を追い詰める。
河村(ここまで来て.....潰えるわけにはいかない.....)
河村「まだだ。まだ二体残ってるっ!! これで貴様らを殺す!!」
嘉山「おいおい。あんた敬語を使ってなかったか? 追い詰められてから素が出てるぞ。大物ぶってたメッキが剥がれて小物感丸出しだな」
河村「ほざけ! ガキが!! 我々はな.....こんなところで終わらない…終われない!! 世界を手中に収めるまでは!!」
嘉山「暴力で.....力で人は縛れないぞ」
それは、かつて不良だった嘉山が嫌というほど実感していること。
嘉山「もし世界の頂点に立ちたかったのなら、別の方法を取るべきだったな」
河村「黙れ! 貴様らに何がわかる!! この世界は平等を謳いながらも不平等に出来ている。それは紛れもない事実だ! 平気な顔して人を下比する! 人を見下す! どこまで平等を謳おうと、格差は無くならない」
嘉山「・・・」
河村「ならば! 絶対的な支配力をもって争いを無くせばいい!! そうすれば、真に平和で平等な世界が出来ることだろう!!」
嘉山「その過程でどれほどの犠牲者が出る? 必要な犠牲とでも言うつもりか? .....あんたらが言ってることは独裁者となんら変わらない。そして、その結末もな」
河村「黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!! 若造が.....!! 死ね!!」
その言葉を合図に生き残った屍二体が嘉山に襲いかかる。
そして、それを見計らったように嘉山は彼女の名前を呼んだ。
嘉山「待たせたな。出番だ、栞!!」
その声とともに茂みから何者かが飛び出す音がした。
咄嗟にそちらを振り向く河村の目には、自分がキリングマシーンに作り上げた少女の姿が写った。
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