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 ─まったく、ほんと、バカなんだから……。  懐かしさに緩ませた頬は、やがて思考が現実に引き戻された途端、力を失った。  今、もし俊輔が一緒にいたら……。  たぶん、また怒られてたかな。  だから名前書けって言っただろ、とかなんとか……。  俯いていた顔を上げると、教室まであと数メートルほどのところまで近づいていた。  ここまで来たものの、置き傘を準備してある自信はほぼゼロに近い。  とりあえず確認して、無ければ濡れて帰るしかない、と覚悟を決めたその時、  ─とくん。  わたしは唐突に立ち止まった。
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