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「ほら。なんか、スケートリンクみたいになってる」
隣に立ち、窓の外を見下ろしたわたしは「ほんとだ」と呟いた。
誰もいない広い校庭一面に水が溜まり、囲むように並ぶ電灯に水面が照らされ、まるで氷の膜が張ったようにキラキラ輝いている。
向かい合ったサッカーゴールが実際より小さく見え、アイスホッケーのコートみたいだった。
このまま夜まで雨が続けば明日も水がはけず、もしかしたら運動部はもう一日グラウンドを使えないかもしれない。
「今日、拓己は?」
「……え?」
「一緒に帰らないの。これじゃサッカー部、自主トレだろ。
雨の日はいつも一緒に帰ってたじゃん」
「……」
わたしは窓の外に視線を向けたまま、首を傾げた。
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