素直になれる魔法

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「あ、そういえばさっきスマホ鳴ってたよ」 「え?」 「確認した方がいいんじゃない?」 そう言うと昴はカバンからスマホを取り出して着信履歴を確認した。 その瞬間固まる昴。 「昴?」 「……」 「かけ直さなくていいの?」 「……うん、いい」 元気がなくなった昴を少し変だと思いながら私はそれ以上何も言わなかった。 お兄さんと仲良くないのかな。 「苺ちゃん」 「何?」 「お礼に今度いいとこ連れて行ってあげるよ」 いきなり話題を変えた昴に驚きながらも私はテレビに視線を移した。 「別に良いよ、お礼なんて」 「よくないよ!!こんなに親切にしてくれたんだから!!」 昴が私の手を掴む。 それだけでドキッとした。 「苺ちゃんだけだよ。なんの見返りも求めずに僕にこんなに親切にしてくれてるの」 「……清水さんもいる」 「そうだけどそうじゃない!!何故伝わらないこの気持ち!!」 昴から手を引き抜いて立ち上がる。 そうじゃないと私の心臓がどうにかなりそうだったからだ。 「ていうか、外とか寒いから休みの日は家から出たくない」 「インドアの人の考え!!」 「着替えるのも面倒だし」 「今度は引きこもりの言い分!!」 「……でも、昴が行きたいならいいよ」 そう言うと嬉しそうに昴が立ち上がった。 「ホント!?」 「うん」 「行きたい!!だから一緒に行こう!!」 「わかった」 そう言って笑うと昴も嬉しそうに笑った。 ・
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