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閑静な住宅街から、少し離れた小高い山。
山裾には、ひっそりとお地蔵様が鎮座している。
中腹には小さな神社もある。
その山の頂上に、煉瓦作りの、洋館と呼べるほど立派な家があった。
そして、もう一つ。
日本古来の趣き漂う屋敷が隣にある。
こちらもかなりの広さで、門こそ無いものの、見事な佇まいのものだ。
二つの家は、なぜそんなにというほどピッタリと接していた。
季節は春も過ぎた頃。
周りは木々がぐるりと覆い、木漏れ日が和と洋の家、全体に降り注いでいる。
その姿にどこか神聖さが漂う。
「い、いやーっ!!」
と、突然清々しい空気を震わせる絶叫が響いた。
洋館の方からだ。
一瞬の間を置いて、二階の窓から、何か人形の様なものが、放り出される。
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