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ガスッと鈍い音をさせて地面に転がったのは、オカッパ頭の日本人形だった。
続いて、窓から人が顔を覗かせる。
部屋の主である少女。
名前は和泉玲奈(イズミ レイナ)という。
濃い茶色の髪はボブヘアーだが、寝起きらしくボサボサだ。釣り目気味の気の強そうな顔立ちは、今は焦りと戸惑いで歪んでいる。
玲奈は数秒固まったように、人形を見ていたが、次には自分の部屋を飛び出した。
階段をかけ下り、正面のドアを体当たりするかのように開ける。
「琉兄っ!!」
慌てる玲奈は、リビングのソファーでくつろぐ人物を見つけて、怒りに表情を変えた。
何を呑気に、この男は。
「おう、起きたか。玲奈。もう昼だぞ」
「あんた、なんて事してくれたの!」
玲奈の怒声など、なんのその。
しれっと優雅に、コーヒーを飲むのは二十代前半だろう青年だ。
明るい茶髪は若干の癖毛か、ハネている。細身で、切れ長の目をした美青年だ。
名前は和泉琉(イズミ リュウ)
玲奈の兄である。
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