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魂を扱うために、鎮魂傀儡師はそれぞれに呪具とよばれる道具を使う。
琉の呪具は、菊から抜き出した、あの青い針である。
使役するためには人形の中に針を核として埋め込み、魂を宿す。
それが琉のやり方だ。
「聖、今すぐ来てくれるって」
「ああ。助かるな」
玲奈がどこかへの連絡を終え、人形を心配そうに手に取った。
確かに右腕が、ダラリとしている。
「痛かったよね…。ごめんね、菊ちゃん」
「お前、普通投げ落とすかよ」
「だから悪かったって! でも、琉兄こそねぇ。普通あんな事しないでしょ!」
玲奈が起こされた時、目の前に日本人形がいたのだ。
黒い硝子の目に真っ白の顔。
起きるように促す声が、確かにそこから発せられていて。
眠気でぼんやりとした視界に、それを認識した瞬間、恐怖で放り投げたというわけだ。
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