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生徒会長に連れられ出雲姉ぇと廊下を歩いていると一つの教室から声が聞こえてきた。
「……で魔法が発見されたのは今から40年前の──」
「こんな春先に朝っぱらから勉強とは勉強意欲が凄いな……」
実は勉強熱心な学校だったのか、ここは。てっきり全部力で解決する世紀末的な場所かと思ってた。
「違う違う、あれは補習だよ」
笑いながら生徒会長が教えてくれる、けど。
「あの内容って中一の内容ですよね? と言うか今何月だと思ってるんですか? 入学からまだ、一週間も経ってないですよね」
「……去年の分の補習の補習です」
……補習の補習とか初めて聞いたわ。俺は改めて偏差値に戦慄した。
「ははは……次行きましょうか?」
出雲姉ぇ、ナイスフォロー!
「……うん」
とても気まずい空気になりながら歩いていると大きな両開きの扉の前に来た。
「ここが生徒会室、学園長室に行く前に此処で色々と手続きしよっか」
ん? 確か生徒会長はさっき……
「学園長が早く呼んでるって行ってませんでした?」
「アレ嘘!」
「嘘なんですか!?」
「君を助ける為にはこれくらいの嘘つかなきゃいけなかったんだよ。呼ばれてるのは本当だけどね? それとも精神崩壊したかった?」
「うっ……すいません。いや、なに負ける前提で話してるんですか!」
「フフ……じゃあ入って」
そう言って扉を開けて中に入る生徒会長。その後に俺と出雲姉が続く。はぐらかされた感が凄い。
中に入ると一番奥に生徒会長の席らしき立派な机と椅子。その手前には他の役員の席なのだろう机が並べられてあった。
そんな生徒会長の席の手前まで歩いた、生徒会長がおもむろに口を開いた。生徒会長席の生徒会長とか妙にややこしいな。
「はい……えーと、じゃあこんな辺鄙な人工島にようこそ?」
何だろう……この人が生徒会長なのが不安になってきた。
「……そんな見つめられたら照れちゃうよ」
「蒼時君この人斬って良い?」
背中の大剣に手を掛ける出雲姉ぇ、いやダメだから。
「…………」
「生徒会長もなに無言で柄を握ってるんですか!?」
しかも笑顔で。全く、この人は昔からずっと変わってないようだ。生徒会長は俺の表情を見てやっと気がついた? 的な顔になり柄から手を離す。
「さっさと手続き終わらせよっか、と言っても出雲さんはこれだけだよ」
「えっ……」
そう言って一枚の紙を渡す。なになに、特待生の特権について?
「で、翠月君のはこれ」
「……イジメですか?」
分厚いんですけど。一枚一枚超薄いんですけど、広辞苑三冊くらい有るんですけど。
「その中に出雲さんと同じのが入ってるから」
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