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「それは分かってますけど……」
俺も特待生なんだし。
「出雲さんにはもう無いから、先に学園長に会ってきて欲しいんだよね。学園長室は最上階に有るから」
「蒼時君も一緒に行こ?」
「出雲姉ぇ、それは無理だろ」
この紙の束からすぐ書かなければいけない書類を見つけ出し、サインしなければならないマジキチミッションが俺を待っているのだから。
「蒼時君も一緒に行こ?」
頑なな姉に笑顔で告げる。
「言うことを聞け」
「調子に乗ってすいませんでした!」
すぐさま土下座をして扉へと走り去り、バターン! 的な感じの音をたてて扉を閉める出雲姉ぇ。スゲェ、あの動作に5秒掛かんなかったぞ。
「……翠月君はそんなに怖い顔できるんだね……」
「引くの止めてもらっていいですか? 正直傷つくんで」
そう言いながら山詰み書類の中から必要な書類を出そうとする。
「ちょっと待った! 直ぐに書いて貰う書類はここにあるよ」
「…………追加ッスか」
「大丈夫、10枚程だから」
「出雲姉ぇと格差有り過ぎですよ!」
「仕方ないと思うよ。詳しくは知らないけど、君は学園長曰わく『特別』らしいから」
「……まぁ、そうですね」
何が『特別』か、言葉を濁しながら書類を書き進める。
俺自身も、何が『特別』か最近知ったばかりだし。
「あっ……!!」
「何ですか、急に?」
「そういえば自己紹介してなかったよね。私は銀狼学園2年A組所属生徒会長レイナ・ルーチェ、今後ともよろしく」
「翠月蒼時です、こちらこそ宜しくお願いします」
あれ? 俺ってそこまで言うことを無い?
しばらく沈黙が続く。
「……ま、まぁ最初はそんな感じで良いんじゃないかな」
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