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この学園都市にいる生徒の殆どがどこかの有名な末裔、血族、子孫や歴史上の人物の生まれ変わりだったりする。
記憶を呼び起こす魔法が発見された当時は逸話、神話の人物が出てきた事に大騒ぎだったらしい。
学園都市には名の知れた英傑が沢山いる。
魂の記憶を蘇らす魔法だって生まれ変わりを捜す役割がある。何故探すのか、それはお偉いさん方しか分からない。
兎も角ホイホイ軽めに名乗れないから偽名を使う必要性が出てくるのだ。
……有名なほどその分、恨み辛みがあるからな。前世の遺恨は根深い。特に俺やこの方は、な。
レイナさん、もとい、アーサー様は感極まったように俺に話しかけた。
「…本当に久しぶりだな、ランスロット」
そう、俺の前ヶ世は、円卓の騎士団長でありアーサー王の友であり……キャメロット崩壊の発端であるランスロット・デュ・ラクだ。
アーサー様は膝をついた俺に近寄って、まくし立てるようにいった。
「……私はずっとお前を捜していた。早く会いたかった。私は一番お前に会いたかった。私はお前に会えるこの時を幾星霜待ったのだぞ!」
……ん? 話だけ聞くと再会を凄く喜んでいるように聞こえるけど別の感情が混ざってるような、まぁ、いいか。
そんな事より俺が言わなければいけない言葉は──
「──お待たせして申し訳御座いませんアーサー様。しかしよろしいのでしょうか? 俺はかつて貴方様を裏切った身。……本来貴方様が話し掛ける輩ではないのです」
「言うな、ランスロット……。アレは冤罪だと知っている。モルドレッドの虚偽だともな。それを知ったときはお前はもう……。腸が煮え返る思いだった。それにお前を斬った事を死ぬほど後悔もした」
「……誤解されるような事をしていた私にも非があります」
「……今に伝わる私達の伝承〈アーサー王伝説〉は都合のいい話になっているのは知っているか?」
「都合のいい話、ですか? 性別以外はあながち間違いではないと思いますが?」
「はぁ……ランスは本当に鈍いな、鈍い!!」
あ、昔二人で居るときの呼び方に変わった。と言うか心外だな、鈍いとは。
「これでも結構鋭い方なんですよ、暗殺とか対処できますし」
「ランスは生まれ変わってもそれか!!」
あれ? 戦闘面じゃなかった? 何が鈍いんだ? 鍛錬で鋭く出来るかな?
……じゃなくてずっと気になっていた事を聞こう。
「ところでアーサー様、何故急に生徒会室から円卓の間になったのでしょう?」
「あぁ、それは私の《異能》だ」
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