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……? なんだ、城下町の外壁のもっと向こう。一部はあの頃と同じだが、それ以外が灰色だ。まるで時が止まっているように。
「アーサー様、コレは……」
「気づいたか。今、色が付いている場所はランスが守護する場所だよ。私の守護する場所はキャメロット都内だけだったがな。それにランスが来た事で《異能》に『新しい力』が付いたようだ」
「なるほど、アーサー様の《異能》は円卓の騎士が揃う程、強力になっていくタイプの《異能》ですか」
解放型領域支配系異能、それがアーサー様の本当の《異能》か。
解放型は条件が揃う度にどんどん効果が強くなっていく《異能》だ。
完全解放できればその辺の《異能》なんて相手にならないほど強くなる。
「そう言う事だ。ではそろそろ《異能》を解くぞ」
瞬きの間に、円卓の間から銀狼学園の生徒会室になった。
異能ってスゲー。
「ふぅ……。何だか色々思い出しましたよ」
前世の記憶が蘇ると言っても一気に戻る訳ではない。
縁のある場所、武器など前世に関係する物を見るか夢を視るかで思い出す。
勿論『夢』と言うのは睡眠中に視る『夢』であるが。
「……ふふっ、お疲れ様。所でさ、私が遊んでいたって言ったら怒ったよね」
「当たり前でしょう」
仕事投げ出されて怒らない筈がない。てか、今はレイナさんモードなんだ。
「ランスには放浪癖があったのになんで私が怒られなきゃならないの?」
にっこりと笑うレイナさん。
ある意味このまま見とれてしまいたいが、それは難しい。
なぜなら──。
「……レイナさん。扉から覗いてる人、誰ですか?」
「?」
後ろを振り向くレイナさん。すると、みるみる顔を青ざめていく。
そして、チラッと壁の時計を見て更に青ざめる。
時計は7時05分を指していて、まだまだ時間はありそうだが。
「で、誰なんです? あの人」
カタカタカタと、ブリキ模型のような音が鳴りそうな首の動かし方をして何故かヒドく緊張した声で教えてくれた。
「学園長の木籐舞夜さん……世界ランキング第3位の実力者だよ」
……声の震え方からもしかしたら、ちょっと泣いてるかも知れない。
しかし……。
「…世界ランキングですか」
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