神焔の聖女

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桜舞い散る中、だだっ広い道を歩いていた。桜木に彩られた道は、まるで俺を歓迎しているかのよう。 ……この景色を見るのはかれこれ三度目だ。歓迎どころか拒絶されてるように感じる。 「そんなことよりも……広いなこの学校、完全に迷ったな」 そう呟きながら俺は本気で探していた、案内板を……。 ここは小中高一貫の学校だ。 敷地内に小学校、中学校、高等学校と、三つの分けられた校舎を保有するマンモス校。 義務教育だけでも9年、高校も合わせると12年もこの学び舎に通うこととなる。 だからといって敷地の全域を知っている生徒も少ないだろう。 しかも俺はこの時期には珍しい……いや、ないはずの転校生なのだ、新参者にこの学園は広すぎる。 それになぜ俺が迷ったかと言うと、予定より早く着いたのはいいけど暇だったのでその間に学園の見学をしようと考えたのだ。 その結果、ものの見事に裏目に出たが。 そこまで考えを巡らした所で、足下に短剣?(短剣と言うには刀身が肉厚すぎる)が飛んできた。 「……はぁ?」 ハッキリ言おう! 凄く怖い! 治安どうなってんだよ! 飛ばした奴に文句を言おうと短剣? を拾い上げ、飛んできた方を見る。 そこには何やら言い争っている男女がいた。 「オレと戦え! シャルル・エタンセル!! 次こそはお前を!」 男の方はしっかり筋肉が引き締まった体つきも良くて凄く強そうだ、さっき飛んできた短剣? は彼のだろうか。 それに戦えとは、何とも斬新な痴話喧嘩だな。 「フィスト・ティエラ……私はもう何度も貴様を退けた、もう戦う意味が無い! それに、短剣を投げるな! 誰かに当たったらどうする! しかもあの短剣は私のだ!」 もう一人は鮮やかな緋色の髪に青色の大きな瞳。十人が十人認めそうな美少女だ。 しかし……人は見かけによらないものだな。短剣(これ)の持ち主があの女の子だとは……。 おかげで持ち主を探す手間が省けたが、何故か複雑な気分だ。 ところであの男……見た目の割に名前が妙にファンシーだな。
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