side シャルル

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正直、何故こうなったのか今更ながらイマイチよく分からない。こんなにスピーディーに決闘をするとは思わなかった。 当たり前だろう、転校した学校に着いて、ものの1時間で決闘を申し込まれる状況……どこの世紀末だよ。 自分が決闘をやっている理由は絶対自分は悪くないよな、などと考えながら相手の返事を待っていた。 「……それは、降参の意でいいのか?」 「そうだよ」 正直、勝負事で負けるのは好きじゃないが、考えてみると別に勝つ必要性が感じられない。誤解さえ解ければいいのだから。 「しかしいいのか? 少し前に女子寮に入り込んだ下着泥、否、男子生徒がいたのだが警察に捕まってな。言葉もまともに話せなくなって発狂したらしい」 「俺の知ってる警察と随分違うんだけど……」 少なくとも俺の知ってる警察は下着泥棒だけで精神崩壊させる組織じゃないはず……多分。 「何を勘違いしている。警察と言えば〈乙女察察防衛邪男子警隊(おとめさつさつぼうえいよこしまなだんしいましめたい)〉通称〈警察〉の自警団に決まっているだろうが」 「そんなもん知るか! てか、長いな!?」 当たり前のように言われても困る。てか、察察って…。 「で、どうするのだ?」 「あ~……頑張ってみようかな」 こんな所で精神崩壊しても困る。そう思って剣を構え直す……いや、構えているようには見えないか。ただ両腕をだらんと弛緩させているように見えるだけだ。 「何故剣を構え直さない」 「これも俺の構えさ」 「そうか、なら手加減はいらないな!」 あれ、なんだかご立腹? 先程の会話を思い出して何故と考えるのは止めた。そもそも相手が怒っているから決闘しているのだから。 「それにしても……なんて魔力の量だ。普通の人間ならもう魔力切れを起こしてもおかしくないだろうに」 呆れながら、途切れなく焔を打ち出す魔女を賞賛した。 「口調が変わってないか?」 「あっ……気のせいだ」 早速、猫の皮が剥がれてきた。優男で行こうと思ってたのに。優男で行こうと思ってたのに!! 「そうか……【アッシュバーン】!!」 どうやらシャルル・エタンセルの使う得意魔法は『火』属性……『燃やす』性質か。 火魔法の【アッシュバーン】は火で燃えて出来た灰を爆発させるちょっとウザイ魔法だ。 あらかじめ灰を持っておけば必殺の一撃に成りうるが、ここに多くの灰はない。あってもシャルルが芝生を燃やして出来た物だけだ。小規模かつ散発的な爆発なら避けるのも難しくはない。 いくらか他の市販されている既存の魔法で狙いやすい動きをしてみたが、結局火魔法しか使ってこなかった。 相手の能力を看破した所で魔力が高まっているのに気がついた。 マズいなぁ、この威力は……!!
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