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「破城槌……」
地面に着地して、まず俺が考えたのは先程現れて地面を抉った兵器のことだ。
その名も『破城槌』。
名前の示す通り本来は城の門を壊すための兵器だが、地面を抉る使い方があったとは……。
じゃなく、地面を抉るのは構造的にまず無理なので、考えられるのは【召喚】された兵器で間違いないだろう。
瞬きの間に思考をめぐらし、能力を看破したところで。
「いつまでこうしているつもりだ! 離せ!!」
シャルル・エタンセルを、お姫様抱っこ状態で放置しているを忘れてた。
「あぁ、悪い」
すぐさまシャルル・エタンセルを地面に下ろす。
「で? どうする、まだ続けるか?」
若干顔を赤くしながら戦意の程を聞いてきたシャルル。ごめんね、民衆監視の中お姫様抱っこして。
「精神崩壊はイヤだしな……」
本気で嫌なので普段使っている、本来の両刃剣の構えをとる。
するとやっと納得したみたいな顔をした。この構え方だと納得してくれるのか。
「じゃあ、改めて。始めようか」
俺は左半身を前に出した独特な無形の型を取る。俺の普段使う流派は両刃じゃ使い難い。
それに、ようやく気分が乗り始めた所だ。
「なる程、さっきまでと違って隙がない。なら此方も!」
なぜか興奮した様子のシャルル・エタンセルは、手に旗付きの槍を【召喚】して攻撃をしてくる。え、そんな事できんの!?
多段突き、薙、石突きによる打ち上げ、これらを巧みに使い分け攻め立ててくる。これは、魔法を相手するより苦戦しそうだ。
“将来有望”な魔女に思わず笑みが零れる。
それに焔は兎も角として旗付きの槍……この旗。それに魔女と呼ばれるのは嫌いらしい。
もしかしてこの人は……。
長物相手に不利は承知で、距離を空けるために下がったところで。
「そこまで!!」
『決闘は一定以上の上位権限の介入により強制終了します』
「「なに?」」
突如として乱入してきた第三者によって決闘は強制終了された。
やっと気分がのって面白くなってきたところなのに、随分と無粋だな? 乱入者を見ると女性が二人、既にシャルルがうちの一人に話しかけていた。
「生徒会長、決闘を邪魔するからにはそれなりの理由がありますよね?」
「ごめーん、学園長が早く呼んでこいって煩くて」
憮然とした態度のシャルル・エタンセル。
決闘を邪魔されてご立腹のようだ。
それにしても。
「……綺麗だな」
「えっ!?」
あ、つい本音が……。
朝日に煌めく腰まで届く長いストレートの金髪に、綺麗な碧眼。
整えられた顔は間違いなく美少女のものだ。まだ二人しか会ってないけど、この学校美人多くね? 最高だな。
生徒会長らしい金髪碧眼の美少女は顔を赤らめて、照れているのか?
初対面の人にいきなり綺麗だなんて言われたら誰だってそうなるか。
……いや、普通引くよな?
……アレ? 何だろう。この人とどこかで会ってるような既視感を覚えた。
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