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「全く~、出会ってすぐに女の子を口説くなんて、軟派だよ」
……とても、心外な事を言われた。
「……口説いたつもりは無いんですが」
いや、これマジで。
ついでに軟派でもない。俺硬派。
「……ねぇ、蒼時君」
生徒会長が来てからずっと視界に入れないようにして、無視を貫こうとしたその人は口を開いた。
「……何かな? 出雲姉ぇ」
そう、俺が無視をしていたのは姉。
出来ればずっと無視していたい姉だ。
「『何かな?』じゃないよ!! どうして先に行っちゃうの!? お姉ちゃん寂しかったんだよ!!」
そう言いながら抱きついてくる出雲姉ぇ。重い! 背中に背負ってる大剣が重い!?
「出雲姉ぇ、恥ずかしいから止めろ! てかマジ重い! 何キロあるんだ、その大剣!」
「52キロ!」
「重いわ! よくそんなもん背負えてるな!?」
俺の姉、翠月出雲。
容姿は家族から見ても物凄い美女なのだが、俺絡みになると何故か極めて残念な姉になる。
普段は凜としてかっこいいんだが、よく人目も気にせず俺に甘えてくる。
ほら、生徒会長もビックリしてるし、シャルルに関しては引いてるし。
見た目は大人、頭脳は子供みたいな姉だ。
「そろそろ、行こっか」
微妙に引きつらせた笑みで俺を見るな、姉を見ろ。
あぁ、そうだ。
「シャルル・エタンセル。次、戦う時は決着をつけよう」
「当たり前だ。あと呼び方はシャルルでいい」
「分かった、またな。シャルル」
決闘自体は不完全燃焼だが、再戦の約束は取り付けた。それに、彼女の《能力》は俺を楽しませてくれそうだ。
俺はほくそ笑みながら、校長先生とやらに会いに行くために校舎に歩みを進めるのであった。……ちなみに出雲姉ぇは終始へばりついたままだった。締まんねぇなオイ。
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