日常

3/7
前へ
/62ページ
次へ
今日は寄り道しようかな。 少しルンルン気分で広場へ行くと 「ライムお姉ちゃんだ!」 子供たちがまわりに集まってくる。 「ねぇ、陽だまり猫の歌を唄って!」 「えー、フルートを吹いてもらおうよ。」 「だめだめ、ドジなエルフのダリを唄ってもらうの。」 「あんたたちにはロマンスって言葉がないの?創世の歌を唄ってよ。」 子供たちが言い争う。 「ちょ、ちょっと待って。」 私は子供たちを諫める。 「今日は楽器持ってきてないから唄だけ。その代わりに明日、家に遊びに来たら楽器引いてあげる。だから、我慢して」 『うん!』 子供たちは素直に頷いた 「じゃあ、最初に陽だまり猫の歌を…」 歌が風にのり、村中に響く その歌声は人々を心から和ませ、聴こえなくなるまで耳を傾けさせた 翌日 朝早くから東の森に行き、薬草を摘んでいた そのまわりで小鳥や小さなモンスターたちが騒いでいる 薬草を摘み終えて帰って来ると薬草を小分けにして束ね指定の籠に入れる いつもの日課だ 夜に調合した薬を取り出して診療所に届けると今日はまっすぐに家に帰りクッキーを焼いた お昼を過ぎた頃 勢いよく扉を開く音がして子供が一人飛び込んで来た。 「お姉ちゃん!!」 その子はかなり慌ており 「どうしたの?」 ただ事じゃないと悟った私は薬の入った鞄を持った 「ラディーが!ラディーが大変なの!!とにかく、来て!」 「わかった。」 男の子と外に出ると辛うじて見える位置に子供たちが集まっている あそこね。 急ぎ行くと男の子が真っ青な顔して倒れている 「みんな、落ち着いて。離れてなさい」 この子がラディーね 私はラディーを抱える 発熱、発汗、腹痛を起こしかけてる。 息が荒い、匂いも独特ね。 毒を食べたのかな?まさか……ね 容態を確認し家に連れていく 「みんな、ラディーがああなった理由を知ってる?」 ラディーをベットに寝かせながら聞く 「…それは」 みんなはお互いに顔を見合わせる 「こうなった理由を説明しなさい!」 少しきつく言った 「変なキノコを食べさせられたんだ!無理矢理……」 やっぱり、毒の症状か。 子供たちと目線をあわせ、 「どんな形のキノコか覚えてる?急がないと危ないかもしれないの」 私は少し反省をし、落ち着いて優しく言う
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

91人が本棚に入れています
本棚に追加