日常

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『わぁ~い♪』 子供たちは一斉に井戸の方に走って行った 友達想いのいい子達ね。 私はすこしラディーを羨ましく思った なぜなら、幼少時代は母と旅をすることが多く、同年代と遊ぶ経験など殆ど出来なかったからだ 「ライムお姉ちゃん。」 いつの間にか、二人の女の子が目の前にいた。 「ん?なぁに?」 「クッキーの作り方教えてほしいの。」 真剣に二人は私を見つめている。 「いいよ。」 『やった!』 二人とも喜んで飛び回る。 「好きな男にあげるの?」 私は作り方を分かりやすく紙に書きながら聞いた 「…うん。」 「そうなんだ」 二人とも恥ずかしそうに頬を染めて笑う 「はい。分かりやすく書いといたからね」 紙を二人に渡すと 『ありがとう!』 二人はそう言うとクッキーを食べに行った クッキーを綺麗に包み、様子を見に上に行くとラディーは意識を取り戻していた 「具合はどう?」 熱などを計りながら聞く 「頭がふわふわする。」 ラディーはまだ少しきつそうな表情をして言う 「そうでしょうね。起き上がっちゃダメよ。」 起き上がろうとするラディーを静止させる。 その時、子供たちがこっちにきた 「ラディー!」 「大丈夫か?おまえ」 「少しふわふわするよ。」 「心配したよぉ」 みんなで騒ぐ 「こらこら、騒がないの。ラディーはまだ完璧に治ってないのよ」 みんなに注意する 『ごめんなさーい』 「分かればよし。それから、今日は演奏中止にしていいかな?」 『うん』 「だって、ラディーのことでしょ?」 「仕方ないよ。」 「ありがとね」 子供たちの頭を撫でる 「聞きたいことがあるんだ。わかるよね?」 みんなと目線をあわせる 「わかるよ。」 一人がはっきりと言った それを聞くと私は 「誰がラディーに毒キノコを食べさせたの?」 直接本人に聞かず、みんなに聞いた 直接本人に聞くとつきたくもない嘘をつかなくてはならなくなるかもしれない そう思ったから。 子供たちは数分沈黙し、ラディーは皆が頷くのを見て口を開いた 「ベティーとヴィンセントとダラル」 私は少し驚いたが 「そう。よく言ったわね」 ラディーの頭を優しく撫でながら誉めた 「よし、誰かラディーの家まで案内してくれる?あ、あと、キノコを食べさせた子達の家も案内してくれると助かるんだけど。」 『いいよ』 子供たちは頷いた
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