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「うぅ……んっ!?」
私は調合部屋で目を覚ました。
どうやら調合しながら眠ってしまったようだ。
全部できてるっけ!?
焦りながら確認する。
結果、すべて調合し終えていた。
「えーっと…」
机や床に並べられた薬の数々を戸棚や籠に入れ、道具を片付け終える頃には日が高く上っていた。
下におりて一息つくと、ふとおかしなことに気付く。
あれ?今日、お客さんが来るはずなのに…
毎週この曜日はいつもお客が殺到してベルの音が鳴り響き続けるのに、今日はまったくそれがない。
嫌な予感がする。
そんな時、ベルが鳴り響いた。
「はーい!」
スカートを叩いて玄関の扉を開いた。
すると、そこには村長とその後ろに二人の兵士がいた。
「あ、村長さん」
私は村長の背後に立っている二人の兵士が気になった。
「ライムちゃん。急いで支度して来てくれ。国王様がお呼びだそうだ。」
村長は難しい顔をして言った。
「え?あ、はい!」
事態は深刻そうなので支度をしに奥に行く。
服を着替えなくちゃ。
白の長袖のシャツに黒の紐ネクタイ、青のベスト、青のロングスカート、腰までの長さの黒のマントを上から羽織る。
「えっと…道具…薬…本…」
必要な道具を揃える。
ポーチを腰につけると、玄関に向かった。
「村長さん、行きましょう。使いの方がいらっしゃってるんでしょ?」
「あ…あぁ」
村長が物言いたそうにしていたが、兵士のほうを向く。
鈍い音がした。
「がはっ!」
「え…?」
村長がスローモーションのようにゆっくりと倒れた。
その場に赤い液体が広がっていく。
「村長さん!」
私は村長を仰向けにさせた。
「っ!?なんてことを…」
急所から外れた場所に刺し傷があったがかなり深い。
医者に見せないと…
「にげ…な…」
「しゃべっちゃダメ!」
応急処置を施そうとした時、兵士達が腕を掴んできた。
「何するの!?放して!」
兵士達は私を無視して抱える。
「放して!村長さんが死んじゃう!!」
抵抗も虚しく、村の入り口まで連れてこられる。
村の通りだ!誰かきっと……
私のそんな思いはあっさりと打ち砕かれた。
「っ!?……なによ。これ」
私は見て絶句した。
村人たちが兵士に剣を突き付けられ、怯えながら広場へ連れていかれるのを。
なにかの冗談でしょ?こんな……
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