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彼の背を追いかけながらそう言うと、彼は決まってこう言った。
「どうせなら、そのままその海の中に居ろよ」
いたずらっぽく笑いながら、振り返ってそう言った。
それを聞いて怒る私もまた、彼の返答のようにパターン化していた。
いつもいつも一緒だった。
小さい頃からどこへ行くのも一緒で。
だから、彼が死んでしまった時は悲しかった。
人は皆いつかは死んでしまう、と誰かは言っていたけれど、彼が死んでしまうなんて想像できなかった私にしてみればそんなのただの戯れ言に過ぎなかった。
だけど。
だけど、彼が海に脱力した身体を浮かべているのを見て、ああ、本当に死んでしまうんだと思った。
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