0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
戯言なんかじゃなくて、本当に死んでしまうものなんだと。
彼が死んでしまって、追いかける背が無くなってしまった私は、ただ何もせず海に飛び込む日が多くなった。
それでも、あんなに飛び込みたくて仕方がなかった真っ青な海に飛び込んでも、私の中にぽっかりと空いた穴は埋まらない。
そして、気がついた。
私はきっと、海に飛び込みたかったんじゃない。
彼の愛の中に飛び込みたかったのだと。
彼の愛に、溺れたかったのだと。
だから、彼を殺してしまった。
彼の背を、追いかけていたあの背を自らの手で押した。
彼が、好きな人が出来たと言ったから。
それが私でないと知っていたから。
最初のコメントを投稿しよう!